Engineer's Journal

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オンチップの真空管素子

現代において、半導体と言えばアナログ・デジタルを問わずMOSFETが主流ですが、原理上の性能限界というものがあります。そこで、なんとMOSFETの代わりに真空管をオンチップで作ってしまおう、という話のようです。

私はMOS世代の人間なので、研究や仕事では真空管どころかバイポーラすら扱ったことが無いんです。趣味で簡単なオーディオ用のデジタルアンプ作った時にバイポーラは使いましたが。なので、真空管と聞いてもいまいちピンとこないのですが。。真空管に慣れ親しんだ世代の方々には、このニュースが与える影響はとんでもなく大きいんだろうなぁ、と想像しています。

MOSトランジスタの速度は、スケーリングで飛躍的に上昇します。記事によると今開発中の真空チャネルトランジスタはエミッタ・コレクタ間が150nmで460GHz動作、という事ですが、例えばMOSだと180nmプロセスのft(トランジション周波数)が数十GHz程度なので、同等サイズ比では大幅に高速です。

耐久性が売りである、という事が書かれていますが、確かにMOSトランジスタは宇宙空間では信頼性に問題があります。宇宙線の影響を受けるためですね。何がどう影響するのかは、以下の記事にざっくりと書かれています。

特許権の問題があるでしょうが、そこをクリアできれば、実用化の目処が立ち次第一気に普及しそうな気がします。現行のCMOSプロセスを一工夫するだけで作れそうですし。ということで、今後に期待したい新素子です。