Engineer's Journal

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CMOS Analog Circuit Design 1~5章

ようやっと5章まで読み終わりました。しかしページ数にしておよそ1/3…次章が特に重いので、ここで小休止。ここまでの内容を復習しつつ、ちょっと他の本を読み進めようと思います。

内容はざっくりと、トランジスタのデバイス構造やプロセス的な話、レイアウトの話などを経て、3章からMOSの電気的な特性の話やSPICEモデルの話に入っていきます。3章ではMOSの電気的特性のモデル化について、4章はMOSのスイッチ・電流源としての特性を解析していて、5章では増幅器の話にまで発展させています。

ここで特に印象深かったのが、4章で扱っているMOSスイッチのチャネルチャージインジェクションの話。通常、チャージインジェクションを緩和するためには、CMOS構成をとったり、キャンセルのためのダミースイッチを置いたり、あるいは、クロックの立ち下がりを緩やかにしてやったりします。立ち下がりを緩やかにしてやることで緩和できる事は、なんとなくイメージはつくのですが、この本では、クロック信号が立ち下がるときのFall Timeが短い時と長い時とに場合分けをして、ソース/ドレインへのインジェクション量を見積もっていて、けっこう面白かったです。まぁ、Razaviも言っている通り、厳密に見積もるのは難しいのでしょうけど、定量的理解をはかるには十分じゃないでしょうか?

他にも下記の様な点が面白かったです。

  1. 3章で一般的な各パラメータの値(たとえばλとかμとか)を示し、この後に出てくる全ての章の計算例に、その値を使っていたのは勉強になりました。計算は面倒ですが、数字を追いかけられるのは大事です。
  2. 5章の増幅器は、実際のアンプの設計手順にまで踏み込んでいます。Razavi本を読んでいてもいまいち設計の仕方がわからんって方は多いと思いますが、それもそのはず、設計手法が書かれていないためです。その分解析的な観点ではより深く掘り下げているように思いますが。
  3. 他、今のところすべての章で言える事ですが、NMOSとPMOSの両方を均等に扱っているように思いました。他の本は、例えばNMOSソース接地しか特性の算出をせず、「PMOSも同様」的な扱い方をしているものが多いですが、Allen本はPMOSの場合は「こういう等価回路でこういう式になる」と書いてある事が多かったです。等価回路の書き方なんかは特に参考になります。

引き続き、6章以降も読んでいこうと思います。いつ読み終われるかわかりませんが。。